多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む中、真のDXを実現し、競争優位を確立するカギとなるのは業務に精通した現場の力だ。そこで今注目されているのが、プログラミング言語などの専門知識がなくても容易にアプリケーション開発が行えるローコードプラットフォームだ。30年以上、アプリケーション開発やコンサルティングに携わるClarisのエバンジェリストAndrew LeCates氏に、コロナ禍で業務アプリケーションの短期開発を実現した海外の事例を含め、ローコードプラットフォームの最新動向を聞いた。
開発アウトソーシング / 自社開発どちらがDXを推進するのか?
LeCates
どちらがいいというのではなく、開発するアプリケーションによってアウトソーシングと自社開発を使い分けるべきです。ただ、これまでの自社 開発の場合、プログラミング言語などの専門知識を持つエンジニアが必要でしたが、Claris FileMakerのように高度なローコードプラットフォーム の利用が広がり、以前とは状況が変化しています。ローコード開発のメリットは、開発の専門知識がない「シチズンデベロッパー」と呼ばれるような人たちがアプリケーション開発に参加できるようになったことです。
シチズンデベロッパーとは、IT部門以外の人がDX実現に向けた開発に参加することを意味しています。専門的なプログラミングスキルを持つエンジニアも、現場の業務に精通したスタッフも同じローコードプラットフォームを利用することで一緒にビジネスの課題を解決し、DXを推進することができます。
プロのエンジニアもローコード開発プラットフォームを使用する?
ローコード開発は、プログラミング言語などの専門知識がなくても開発できることから、「開発言語の素人」によるアプリケーション開発と誤解する人もいますが、米国では新型コロナ感染症のパンデミックにより、多くの企業がDXを実現しなければならない状況にあります。
一般的な米国企業において、ITに特化した社員の割合は4%程度と言われています。もし全社員がソフトウェア開発に携わることができれば、開発能力は25倍になる可能性があります。
Clarisは、すべての企業がデジタルカンパニーであることを提唱しています。つまり、社員は誰でも開発者になれるのです。ローコード開発は、専門的な知識を持つエンジニアにも大きなメリットがあります。エンジニアはコーディングなどを意識することなく開発に専念でき、ユーザの立場に立ってユーザ体験を分析することに集中することができ、開発の効率化と生産性の向上に貢献できます。
企業のDXを担う一般社員とエンジニアの双方にとって理解可能なローコードプラットフォームを導入することにより、エンジニアは現場の社員が理解しやすい、視覚的なアプローチでアプリケーションの開発から検証、修正、導入、改善までのプロセスを進めることができるのです。そして、開発中に現場からのフィードバックをアプリケーションに組み入れるなど、ビジネス環境の変化に応じた開発が可能となります。
エンジニアがClaris FileMakerを利用することで、ユーザーからのフィードバックを反映した開発プロセスを的確かつスピーディに進行できるようになるので、開発に忙殺されることがなくなり、どうすれば短期間で自社の課題を解決できるかといった検討や、イノベーションの創出に時間を割くことができるようになります。
コロナ禍に2週間で短期開発ロンドンで導入された救急車サービス
LeCates
新型コロナウイルスの感染拡大が続くイギリスの首都、ロンドンの救急車サービスが一つの良い事例になります。救急車サービスの救急隊員は 患者を休みなく医療機関に搬送しており、救急隊員は自身の拠点に戻って感染防止用のマスクや応急処置の用具などを補充する時間も取れませんでした。そこで、救急車で移動中に、近くにある拠点に立ち寄って補充できるよう、どの拠点にどれだけの在庫があるのかリアルタイムに把握できるアプリケーションの開発ニーズが発生しました。
そこで、Claris Partner会社から数名のエンジニアを現場に派遣する一方、救急車サービスチームからも数名の社員が参加してアプリケーション開発のプロジェクトを立ち上げました。そして、Claris FileMakerを利用してわずか2週間でアプリケーションを開発しています。このソリューションはすぐにイギリス全土に広がり、現在4500ユーザがモバイルで利用し、コロナ患者に対応する医療機関でも利用されています。
開発人月での見積はローコード開発でも?
LeCates
人月計算での開発見積はコストが高くなりすぎるでしょう。大企業ならともかく、中小企業では受け入れられないのではないでしょうか?中小企業で独自のシステムを開発する場合、初期開発だけではなく、開発後の修正や、セキュリティを考慮した運用コストもかかってきます。それを維 持しつづけることは時代遅れの選択肢でしょう。そもそも、市場ではエンジニアも不足しています。米国においては多くの中小企業でクラウドとローコード開発プラットフォームを採用したインハウス開発が進んでいます。中小企業こそ、クラウドベースのローコード開発を選択するべきです。米国ではすでに、大企業においても同じ動きが見られます。
ローコード開発ツールの選定基準は?
LeCates
自分たちにとって適切なローコードプラットフォームを選ばないと、よりコストがかかることになりかねません。機能がシンプルで低価格の ツールが多いのですが、開発の途中で必要な機能が足りず、プロジェクト遂行の妨げにもなる可能性もありますし、電子化だけが目的になり本来目的とすべきDXの実現、効率性の追求に至らない可能性もあります。選ぶのであれば、機能の進化が継続しているプラットフォームを選択するべきだと思います。また、クラウドオンリーなのか、オンプレミスとのハイブリッド環境なのかも重要な選択基準になります。
その点、Claris FileMakerは機能が豊富な上、エンジニアが利用しやすいよう、絶えず進化しています。最新版のClaris FileMaker 19でJavaScriptの利用が可能になったことで、Webアプリケーション機能を取り込みできますし、アドオンを利用することにより、JavaScriptに精通していない人でも、よりリッチな機能を実現できます。
また、Claris FileMakerはオンプレミスとクラウドのハイブリッドの開発環境を提供するとともに、プラットフォームのオープン化を加速し、APIで連携するClaris Connectなど、様々なアプリケーションとの統合を促進しています。こうした機能の拡張など、Claris FileMakerプラットフォームを利用している世界中のエンジニアとコミュニティを形成し、皆さんの意見を製品・サービスに反映しながら、プラットフォームを進化させています。Clarisでは、30年以上に及ぶローコードプラットフォームの推進者として、企業のDXに向けたアプリケーション開発環境をこれからも強力にサポートしていきます。
お問い合わせ先
- Apple Japan, Inc.-Claris 法人営業本部
〒106-6140 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー
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電話:03-4345-3333
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