国際パラリンピック委員会(IPC)とアフガニスタン同委員会は28日、大会に参加するため同国の2選手が来日したと発表した。 テコンドー女子のザキア・クダダディと陸上男子のホセイン・ラスーリで、先週末に情勢が緊迫化しているアフガニスタンの首都カブールから出国。数人の個人、組織、政府の支援を受けてフランスのパリに避難し、国立施設での1週間の調整をへて、この日、日本に入った。 クダダディは9月2日、ラスーリは3日に行われる種目に出場する予定。出国96時間前の2度のPCR検査と羽田空港の検査もクリアし、都内の選手村に入った。アフガニスタン選手団は母国の政権崩壊を受けて出場を一時、断念。IPCも参加の見送りを公式発表していた状況だった。一方で2人は、出場への強い願望と支援を求める声明を出し続け、夢をかなえた。 選手村で出迎えたIPCのアンドリュー・パーソンズ会長は「12日前、アフガニスタン選手団が東京に来られないという情報があった。東京大会に両選手が参加できる可能性は、ほとんどないと常に思っていた。だから(24日の)開会式ではアフガニスタンの国旗だけ入場行進に参加した。ただ、我々は希望を決して諦めなかった。選手村にザキアとホセインを、ほかの4403人のパラリンピック選手と一緒に迎えることができた。それは人々を平和に結びつける、驚くべきスポーツの力を示した」と感動のコメントを出した。 IPCや大会組織委員会に支援を求めてきた選手団のアリアン・サディキ団長は「争いと否定的な感情は人類を破壊するだけ。平和を維持し、大切にすべきだ」。組織委も「本日到着された、アフガニスタンチームのアスリートおふたりの健闘を心より祈念いたします」と歓迎した。 戦禍を乗り越えて来日を果たした2人が試合に出場すれば、東京大会に参加するチーム数は、難民選手団を含めて163の国と地域となる。
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