参加者がウェブアプリを使って参加する「オンラインマラソン」が増えている。コロナ禍の密集対策のため、各地のランニング大会で例年通りの開催が難しくなっていることが関係している。どんな特徴や魅力があるのだろうか。 オンラインマラソンは、スマートフォンのGPS(全地球測位システム)機能を使ったアプリで走った距離やタイムを計り、データを主催者に送る。GPS機能で走った距離を測ることができる場所であれば、全国どこで走っても構わない。GPS機能付きでアプリとつなげられる腕時計でも参加できる。大会期間中であればいつスタートしてもOK。大会によるが、決められた距離を何日かに分けて走ることもできる。 完走すると、他の参加者とのランキングを見られたり、完走賞を受け取れたりする。新型コロナウイルスの流行が本格化した昨年3月、「名古屋ウィメンズマラソン」の一般参加の部が中止になり、代わりにオンラインでの開催になったことで注目された。 名古屋ウィメンズマラソンも含め、国内の多くの大会で使われている無料のアプリ「TATTA(タッタ)」を開発したアールビーズ(東京都)によると、オンラインマラソンのイベントは昨年の初夏以降増え始め、今年1月までに全国で100件を超えた。20年11月にあった「富士山マラソン」には、海外からも3千人以上のエントリーがあったという。担当者は「GPSの軌跡で絵を描く『お絵かきラン』も注目されている」と話す。 オンラインマラソンは、気軽に参加できるのが魅力だ。日本成人病予防協会の認定講師で、東京都内でランニング教室を主宰する内田英利さん(49)は、受講者に大会への参加をすすめているという。 新型コロナウイルスの流行で運動不足を感じ、「何かしなければ」と教室に通う人も多い。フルマラソンも分割して走ることで、ランニング初心者であっても「完走」でき、賞品がでる大会も多いことから、やる気の維持に役立っているという。運動習慣が身につき、体重減につながる参加者もいる。 内田さんは、「時間制限の関門もないし、参加の心理的なハードルが下がる。一気に長い距離を走ろうとせず、まずは手持ちの服と靴で『急いで歩く』ところから始めて」と助言する。 実際に参加して気をつけることは何か。 日本ランニング協会によると、オンラインマラソンで最も重要なのは、安全性の確保だ。周りにスタッフや他のランナーがいる従来の大会と違い、その人がオンラインマラソンに参加中かどうか、外見からはわからない。走っている最中に体調が悪くなっても、すぐに救護がこないことを想定した方がいい。無理をせず、少しでもおかしいと思ったらすぐにやめることが大切だ。 特に、脱水症には注意が必要だ。気温が低い季節でも起こりうる。飲み物を持って走るか、あらかじめ地図上で走るコースを設定し、自動販売機の場所などを把握しておくとよい。この時、トイレの場所も確認しておくと便利だ。万一の時のため、スタート前に家族や仲間にこれから走りにいくことを伝えておくとよいという。 記者も、アールビーズが週末に開く大会のハーフマラソンに参加してみた。応援や周りのランナーがいる現地開催のような高揚感はないが、その分落ち着いて走ることができた。2時間ほどで完走した後、他の参加者の記録を見て、自分と同じ日に全国で同じ大会を走っている人がいることに少し気持ちを強くした。大会に申し込んだのを機に、平日の夜、在宅勤務後にも体を動かす習慣ができ、今も続いている。 日本ランニング協会の担当者は「記録更新というより、体を動かしたり練習を続けたりするためのきっかけや目標、他の人との交流の手段とするなど、自分なりの楽しみ方を見つけて」。大会と身構えず、無理のない範囲で使うのがよさそうだ。(杉浦奈実)
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