<アメリカは安全保障上の最大のパートナーだが、同時に中国との関係も絶対に悪化させたくないシンガポール>
アメリカと中国が東南アジアで主導権争いを繰り広げるなか、シンガポールが今週24日、約5年ぶりに中国海軍との海上合同演習を実施した。
ジョー・バイデン米大統領は、中国がアジアで影響力を拡大させる現状に対抗する、いわゆる「民主主義国家の連携」を提唱している。しかしシンガポールのリー・シェンロン首相は、この考えを「冷戦型」と呼んで、参加を拒否する姿勢だ。
ビジネスを重視するシンガポールの外交政策を考慮すれば、中国「封じ込め」の国家連携に参加することは考えにくい。中国との軍事関係が今後強化される可能性はあるものの、アメリカがシンガポールにとって「安全保障上の第一のパートナー」であることは変わらないと、南洋理工大学(シンガポール)で海洋安全保障を研究するコリン・コーは語る。
24日に実施されたシンガポール海軍(RSN)と中国海軍(PLAN)の海上合同演習は、2016年9月以来、約5年ぶり。両軍の艦船が一群となって航行する画像イメージとともに両国で発表された。
中国側の発表によると、両軍の艦船はシンガポール海峡の北東の洋上に集結した。演習によって「相互の信頼を構築し、友好を深め、協力を促進した」とする艦隊士官のコメントが添えられている。
周辺諸国と演習を重ねる中国
またシンガポール国防省によると、シンガポール海軍からステルスフリゲート艦と哨戒艦、中国海軍から駆逐艦とフリゲート艦が参加して「追い越し演習」が実施された。
両軍は操縦、交信演習の後、合同の捜索・救助シミュレーションを行った。シンガポール国防省は、演習が行われた場所を「南シナ海南端の公海上」としている。
中国海軍は今月、パキスタンとも海上合同演習を実施したと今週、明らかにした。
新型コロナウイルスによるパンデミックのさなかにあった昨年、中国は近隣諸国と多くの合同軍事演習を実施している。
昨年3月にはカンボジアとの合同軍事演習「ゴールデン・ドラゴン」が実施されたが、今年は首都プノンペンが昨年10月の大規模な洪水で被害を受けたことや、新型コロナの感染が収束していないことなどから中止となった。
昨年12月には、パキスタン空軍との合同演習が砂漠地帯で、さらにロシア空軍との合同訓練が東シナ海で実施された。
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