安倍晋三首相は6日、広島市の平和記念式典でのあいさつで、国連での核兵器禁止条約採択から4年連続で同条約に言及しなかった。被爆者との面会では条約への参加を強く迫られたが、首相は、核保有国と非保有国の「橋渡し」を繰り返すゼロ回答だった。核兵器を巡る国際情勢の厳しさが増す中、条約への参加を求める声は、被爆者だけでなく世論でも高まっているが、被爆75年の節目を迎えても、政府は向き合おうとしていない。(木谷孝洋)
◆「私たち被爆者に希望を与えて」
「私たち被爆者に希望を与えてください。被爆75年というメモリアルのチャンスです」
広島市内で開かれた被爆者団体と首相との面会。広島県原爆被害者団体協議会の箕牧智之理事長代行(78)はこう切り出し、核禁条約への参加を求めた。新型コロナウイルス対策として設置されたアクリル板越しに首相を見据え、「戦後の新憲法は主権在民。政府が変わらなければ何も変わらない」とも訴えた。
政府に要望書を出した7団体のうち、4団体が核禁条約への参加を求め、松井一実市長も平和式典で締約国になるよう迫った。だが、首相は前年までのあいさつと同様、核禁条約には触れずじまい。被爆者との面会の場でも「条約はアプローチは異なるものの、核兵器廃絶というゴールは共有している」と従来の見解を繰り返した。
被爆者が求めた原発再稼働の中止や、広島地裁判決で被爆者側が全面勝訴した「黒い雨」訴訟の控訴断念にも前向きな回答をしなかった。
◆核禁条約に「参加すべき」72%
政府の姿勢とは裏腹に、国連で採択された核兵器禁止条約への期待は高まりつつある。
日本世論調査会が6~7月に行った世論調査では、日本も核禁条約に「参加すべきだ」と答えた人は72%に上った。被爆者団体が2016年に始めた、全ての国に条約参加を求める「ヒバクシャ国際署名」には国内外から1184万筆(3月末時点)が寄せられている。
条約は核兵器の開発や保有、使用の威嚇などあらゆる活動を禁止し、核兵器を「違法化」する内容。被爆者らが目指す被爆75年の今年中の発効に向け、残る批准は7カ国・地域に迫る。
◆保有国と非保有国の「橋渡し」役を自任…具体論はなし
唯一の戦争被爆国である日本が同条約に否定的なのは、米国の「核の傘」に頼る安全保障政策を変えないためだ。
首相も被爆者との面会の場で「安全保障環境が厳しさを増し、核軍縮を巡る国家間の立場の隔たりは拡大している」と強調した。
このため、政府は核兵器保有国と非保有国の「橋渡し」役を自任し、外務省が設置した有識者会議「賢人会議」などで両者の溝を埋めるための方策について議論してきた。だが、米ロを中心とした核軍拡競争や、北朝鮮を含む核拡散の流れに対して有効な手だてを講じられていない。
箕牧氏は面会後、記者団に「橋渡しを具体的にどう進めていこうとしているのか。一端でも話していただければありがたかったが、その話もない」と語った。
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