地球温暖化対策の柱となる温室効果ガス排出量削減を巡って、国は、目標の強化に消極的だ。国際的な枠組み「パリ協定」に基づき国連に再提出する30年度目標を、これまでの「13年度比26%減」で据え置くと決めた。
県が積極的な姿勢を見せた意義はある。市町村や企業、県民を巻き込んで行動につなげたい。
今後30年間で、16年度に比べて、電気利用などの合計を示す最終エネルギー消費量を7割削減し、再生可能エネルギー導入量を3倍以上にする。
県のあらゆる政策に気候変動対策の観点を取り入れ、国内外の自治体やNPOなどと連携することも明記した。
問題は実現が可能かどうかだ。
取り組み例として挙がる対策には▽住宅や公共施設を集約し歩いて楽しめるまちをつくる▽自動車は全て電気自動車か燃料電池車に▽全ての住宅や建物に太陽光パネルを設置する―などが並ぶ。
技術革新の動向も見ながら事業化していく方向だが、ハードルはかなり高い。
実施主体の多くは、県民や企業、市町村になる。地球温暖化への危機感が共有されないと、理解や協力は得られない。
県が昨年12月に表明した気候非常事態宣言と50年のCO2排出量ゼロへの決意には、3月30日時点で県内58市町村が賛同している。さまざまな機会で機運を高め、さらに賛同の輪を広げたい。
目標達成に向けてどんな事業をどう進めるのか。工程表を示して説明し、進み具合を公開しながら効果を検証するよう求めたい。
関係者が知恵を出し合う場もほしい。それぞれがばらばらに取り組むのではなく、県民や企業が情報を交換し一緒に問題点を探ることで参加意識も高めたい。
実際に取り組むには、多額の資金を調達しなければならない。県は、相談窓口や助成制度を整え、誰もが参加しやすい環境をつくる必要がある。
阿部守一知事は「国を動かし、世界の地方政府とも連携して取り組みを広げていく」と決意を語っている。
新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大で、気候変動に対する各国の動きはにぶくなった。信州の挑戦を、再び地球の未来に目を向けるきっかけにしたい。
(4月3日)
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April 03, 2020 at 07:07AM
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社説 県の脱炭素方針 誰もが参加できる環境を - 信濃毎日新聞
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