3回出て1回もメダルを取れないのは情けない
吉田麻也は、2008年の北京、そして2012年ロンドンはOAとして出場。さらに6月のU-24代表の活動にOAで参加することが決まり、この夏の東京五輪で3度目の出場が濃厚となっている。とくにロンドン大会では4位となり、メダルにあと一歩と迫った。五輪経験が豊富で、なおかつモチベーションも高い代表キャプテンは今回の招集について、率直な思いを口にした。 「本当に巡り合わせだなと思います。前回(2012年のロンドン大会)のオーバーエイジは年があまり離れていなかったですし、難なくチームに入ることができましたが、今回は離れているし、前回よりも期待値がさらに大きくなっていると思います。(OAでの参加については)個人的にも色々と考えました。ロンドンで非常にいい思い出をチームとともに築くことができて、五輪は正直、もうないだろうと思っていました。でも、自分自身が移籍することになったり、コロナの関係で大会が延期することになったり、色々な状況が変わる中で、自分の考えや、選考の基準も変わってきたのかなと。その巡り合わせで、今回こうやって選ばれました」 選出は光栄なことであり、うれしくもある。ただ招集を受けるか否かについては何度も考え、そして覚悟を決めた。 「ミャンマー戦が終わってからの6月の合宿で、監督が『やっぱり違うな』とか、『このOAじゃないかもしれない』とか、満足させるパフォーマンスが出せなかったら、『全然、代えてもらって問題ないです』と伝えました。僕ら(OAの)3人も、そういう緊張感の中でプレーしないといけないと思っています」 今回で3度目の五輪だ。目標を明確に定めている。 「自分のキャリアの中で悔しい試合というのはいくつもあったんですけど、(ロンドン大会の3位決定戦・韓国戦は)その中でも特に悔しさに残る試合の一つでした。あとの一歩のところでメダルを逃してしまったというひっかかりが自分の中にあったから今回、チャンレンジさせていただくきっかけになったのは間違いない。やり残したことがあったので、こうしたチャンスをいただけたのは、非常にうれしく思っています。あとは結果で応えないといけないと思っています。 オリンピックは、メダルを取ってナンボ。オリンピアとメダリストの違いはかなりあると思っているので、3回も出るのに1回も取っていないのは情けないと思いますし、ぜひメダルを取りたいと思います」 メダルを取るために、自身のすべてを注ぐつもりだ。そしてA代表のキャプテンも務める吉田は、日本代表の未来をしっかりと見つめる。 「年齢制限がある中で、とくにサッカーに関してはオリンピックがゴールではない。前々回のロンドン大会でもみんなに話ましたけど、ここからA代表に定着する選手が何人出てくるかが、サッカーにとってのオリンピックの意義だと思う。そのことを選手たちが常に意識しながらプレーしないといけない。実際、ロンドン大会のあとでブラジルW杯だったり、ロシアW杯だったりに残った選手の数は少なかったと思います。いまはA代表に入っている選手が、オリンピックチームにけっこういるので、これは今までになかったことですし、可能性を秘めていると思います。その選手たちがオリンピックを経て、A代表を突き上げて、日本のサッカー自体が活性化するようになれば。そしてその競争の中で最終予選に向けてチームをつくっていくのが大事かなと思います」 U-24代表の活動前に、明日28日にはミャンマー戦に臨む。2次予選突破が決まる重要な試合。キャプテンは言った。 「前回は新しく招集された選手が多くいたので、いい緊張感を合宿を通して保てましたし、試合の中でも保てたんじゃないかと思います。ただ前回があった分、今回は気が緩みがちになるんじゃないかなと。そこは危惧しています。しっかり締めることが大事になる」 まずは最終予選進出を決め、そしてU-24代表の選手たちが、さらに飛躍する触媒の役目も果たすーー。6月の代表活動で担う役割は極めて重要なものになる。常に日本サッカーの未来を意識してきた吉田だからこそできるタスクだろう。
サッカーマガジンWeb編集部
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