韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、5月下旬の米韓首脳会談を前に「踏み絵」を迫られている。米政府や議会は、文政権の「従北・親中」姿勢に批判のトーンを強めており、中国は、日本と米国、オーストラリア、インドの4カ国による戦略的枠組み「QUAD(クアッド)」に参加するのかと何度も問い合わせているという。米中が、文政権の「二股外交」に警告を発したかたちだ。 「複数の中国政府関係者が、韓国にQUADに参加する意思があるか、複数回、確認した」 朝鮮日報(日本語版)は26日、香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(24日付)の記事を引用するかたちで、こう伝えた。 同紙は、外交筋の話として、韓国側が「米国からはQUADに参加するよう、要請を受けたことはない」と中国側に回答したことや、「中国は韓国がQUADへの参加に曖昧な態度を取る可能性を懸念している」と報じた。中国は「クアッドに参加するな」と警告したといえる。 一方、米国も、文政権に疑念を強めている。 米国務省は先月末に公表した国別人権報告書で、文政権による「対北朝鮮ビラ散布禁止法」を「重大な人権問題の1つ」と指摘したうえ、米議会は今月15日、同法に関する人権聴聞会を開催した。米議会が同盟国の人権をテーマに聴聞会を開くのは異例だ。 菅義偉首相と、ジョー・バイデン大統領の日米首脳会談(16日)後の共同声明には、「日米両国はまた、韓国との3カ国協力がわれわれ共通の安全および繁栄にとり不可欠であることにつき一致した」との一文が入ったが、これも「従北・親中」の文政権への警告といえそうだ。 韓国事情に詳しいジャーナリスト、室谷克実氏は「米国が、中国との対決姿勢を明確にしても、文大統領は経済を依存する中国に及び腰だ。中国の気分を害する枠組みには入らない姿勢で一貫している。米韓首脳会談が実現しても、その場しのぎの曖昧な言い回しで乗り切ろうとするはずだ。米国はすでに、『韓国は信じられない国だ』とあきれ果てている」と語っている。
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