タイ中央銀行とベトナム国家銀行は3月26日、両国間のリテール決済連携に向け、相互運用可能なQRコードを共同発表した。新たなQRコードにより、両国間のクロスボーダー決済が容易となる。当初は試験的事業として実施するが、同QRコードの本格的な普及に伴い、両国間の貿易や投資、観光、現地通貨利用の促進が期待される。
発表によると、2019年のタイ・ベトナム間の観光客の往来は約150万人。相互に旅行先として定着が進む中、同QRコードを使って、タイからの観光客がベトナム国内で商品・サービスを購入したり、ベトナムからの観光客がタイ国内で決済することが可能となる。
両中銀の管理の下、同事業には交換事業者として、ベトナム国家決済社(NAPAS)とタイのナショナルITMX、決済銀行として、ベトナム工商銀行(ベトインバンク)とバンコク銀行が参加する。また、ベトナムのTP銀行、ベトナム投資開発銀行(BIDV)、サコム銀行、バンコク銀行がモバイルバンキング・アプリを通じてQR決済サービスを提供する。
将来的には、ベトナム外商銀行(ベトコムバンク)、タイのアユタヤ銀行、CIMBタイ銀行、カシコン銀行、クルンタイ銀行、サイアム商業銀行などの大手銀行も、サービス提供者として参加する可能性がある。
ASEAN域内で決済面での統合・連結進む
今回の両国の協力は、新しい金融技術を用いてASEAN加盟国の決済サービスを接続し、ASEAN域内の金融統合を促進する「ASEANペイメント・コネクティビティー」構想の一環でもある。この構想は「金融統合のためのASEAN経済共同体(AEC)2025戦略行動計画(SAP)2016年~2025年」に含まれている。
ベトナム国家銀行のグエン・キム・アイン副総裁は「この事業開始は、両国の中央銀行にとって重要な成果だ。相互運用可能なQRコードを用いた、決済連結性にかかるASEANイニシアチブを実施する上で、ASEANの中央銀行が協力する重要な節目となる。これによって地域の経済統合が深まり、各経済のデジタルトランスフォーメーション(DX)が促進される」と述べた。
なお、タイ中央銀行は2020年2月にカンボジアと同様の共通QRコード事業を開始したほか、ラオスやシンガポールとも協力を進めている。
(北見創、シリンポーン・パックピンペット)
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