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Thursday, July 16, 2020

豊富高校野球部 復活の夏【西阪太志】 | 西阪 太志 - nhk.or.jp

皆様ご無沙汰しております。
アナウンサーの西阪太志です。
先日、「ほっとニュース北海道」で、豊富高校野球部を取材しました!

甲子園で予定されていた夏の全国高校野球大会の中止を受けて、道内では今月11日から道高野連=北海道高校野球連盟が独自に開催する大会が始まりました。
10ある支部大会のうち、最も参加チームが少ない名寄支部の大会に出場する豊富高校は、2年前に野球部が復活し、今年部員が10人になりました。
大会に参加する学校が減るなかで野球部が復活した背景とは・・・。

参加校の減少に逆行する部の復活

8/181。
この夏の北海道で道高野連=北海道高校野球連盟が独自に開催する大会全体の出場チームのうち、名寄支部の参加チーム数です。
参加8チームは道内に10ある支部の中で最少。
夏の大会に関していえば、2013年の10チームを最後に、参加チームは1桁が続いています。

道北・酪農の町 豊富町。

名寄支部の中で、部員「ゼロ」から部を復活させたのが、豊富高校です。
全校生徒は56人。
2年前に復活した野球部は3年生6人、2年生2人にこの春、1年生2人が加わって10人になりました。
過去2年は部員が9人に満たなかったため、助っ人部員を借りて豊富高校として出場していましたが、復活後初めて、部員だけで試合のメンバーを組めるようになりました。
目標は名寄支部大会を突破して、北北海道大会に初めて出場することです。

新野篤哉主将
「今年が本当の意味での単独出場だと思うので、本当まずは嬉しいっていう気持ちがいっぱいで、1人1人が勝ちたいという気持ちで練習に挑んでいるので、だんだん(練習の)質が濃くなってきたかなと思います」

部員集めに奔走した監督の思い


野球部復活の立役者が、鈴木快監督です。

3年前に、羅臼高校から豊富高校へ赴任してきました。
実は鈴木監督は、高いレベルでの野球を経験してきたつわもの。旭川東高校を卒業後、プロ野球選手を多く輩出する東都大学リーグでプレー。独立リーグの、愛媛マンダリンパイレーツにも所属した経験があります。

豊富高校に赴任したとき、広いグラウンドに誰もいない光景を見て、感じたことがあるといいます。

鈴木快監督
「ちょうど赴任した時はこの本当に広いグラウンドで、なかなか外の部活動も行われておらず、非常にもったいないなっていう気持ちが一番強かったですね。私ができる事はやっぱり野球というところで、何とかそうですね。
野球をこう、少しでも、好きになってもらえるような子が増えればいいなと思って、そういう気持ちでやっています」

赴任当時の野球部員は「ゼロ」。そこから部を復活させるために、鈴木監督は行動に出ます。
まず最初に取った行動は、なんと、地元の草野球チームへの参加でした。
誘われた草野球チームは、豊富町でやる試合も多かったと言います。

鈴木監督
「結構地域の方とか中学生も見に来ていたので。ここでちょっと私が活躍すればちょっと話の、噂になるかなと思って、私自身もちょっと練習を一生懸命してですね(笑)」

鈴木監督は、実際に草野球のリーグ戦でホームラン王を獲得するなど大活躍。
「すごい先生が来た」と噂になりました。実際に活躍を見た当時の中学生だった新野主将は —

新野篤哉 主将
「ホームランがすごく飛距離が出ていたので、やっぱりすごいなと思いました。この人に教えてもらいたいなと思って、この高校にしました」

野球未経験の部員も成長

鈴木監督は、学校で野球未経験の生徒にも声を掛けました。
ライトを守る3年生、原健太選手。

中学校ではバドミントン部でした。当初はボールを捕ることもままならなかったといいますが、3年間経験を積んだことで、自分の成長が実感できたといいます。

原健太選手
「最初はちょっと(ボールが)本当に怖くて捕るのが精一杯だったんですけど、次第に捕れるようになって、上手くなったという実感が湧いて楽しかったです」

こうして、現在の3年生6人が入部して2年前野球部が復活。

さらに、部員8人だった去年は中学生向けに、野球部を紹介するパンフレットも作成。

「少数精鋭」「全員レギュラー」など、人数の少なさを逆手にとった魅力的な言葉で関心を引き付け、この春の部員獲得につなげました。

川田大斗選手(この春入部した1年生)
Q見に行った時、野球部の雰囲気はどうだった?

「すごく何か明るくて楽しそうな感じでした。野球もできて勉強もできる環境がそろってると思ったので(この学校を)選びました」

復活を支えた町の人たちの応援

鈴木監督の熱意に、町の人たちの応援も加わりました。
監督の赴任当初の野球部グラウンドは、雑草や石ころだらけの荒れた状態でした。

そこで、町の有志が重機などを出して雑草をはがし、鈴木監督の石拾いも手伝ってくれ、野球ができる環境を整備してくれたといいます。

鈴木快監督
「中には子連れで来てくれた方もいて。石を拾ってですね。本当に温かい町だなと」
新野篤哉主将
「石がすごすぎて(グラウンドで)自分たちはスパイクを最初履いてなかったんですよ。スライディングしたら血が出るくらいだったんですけど、今は平気にできています」

今でもグラウンドの入り口には、その時に拾った石が、積み上げられています。

6月には、そのグラウンドで行う初めての練習試合が行われました。3年生にとっては、3年間で初めてのホームグラウンドでの練習試合でした。

その試合に見事勝利した選手たち。
部員「ゼロ」から野球部が復活して3年目。
全員一丸で、初めての支部大会突破に挑みます。

新野篤哉主将
春もなくなって、今回が3年生になって最初で最後の戦いになるので
本当に地域の方などに感謝しながらやっていきたいと思います。

名寄支部大会は、7月18日開幕。豊富高校は、19日に初戦を迎えます。
今回北北海道大会への名寄支部の出場枠は2つ。4チームのトーナメント戦で2勝すれば、北北海道大会出場が決まります。

西阪 取材後記
鈴木監督は、野球部復活を目指して1人でグラウンドの石拾いをしていた時には「本当に来年から部員が集まるのかな」と不安な気持ちになったこともあったといいます。
その鈴木監督を応援した町の人たちの温かさ、そして集まってきた部員たち。近年はどちらかというと閉校や参加校減などのニュースが多い中、取材をしていて本当にこちらまで嬉しい気持ちになる復活劇でした。
ご紹介したグラウンド整備以外にも、豊富町の人たちからは、「いつも気持ちのよい挨拶をしてくれるから」と差し入れの飲み物を届けてもらったり、「金属バットの(打球)音が聞こえるのはいいね」と言葉を掛けられたり、いつも応援があるそうです。
そして、今回高校から野球を始めた原選手をご紹介しましたが、鈴木監督は「彼のように思い切って高校から野球を始める子がいることは指導者としてうれしい限り。本当に人一倍努力をして、今では練習試合の相手の監督さんから『どこにその高校から始めた子がいるの?』と言われる」と嬉しそうに話をしてくれました。
「高校から野球をやってみたい」と思う生徒にとって、こうした人数の少ない野球部はその思いを実現できる、チャレンジできる環境だと取材をしていて感じました。
引き続き、この夏どんなチームや選手・指導者の方に出会えるのか。楽しみにしながら、取材を続けようと思います。

(2020年7月17日)

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